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男性のクラミジア(クラミジア・トラコマチス感染症)は、日本で最も患者数が多い性感染症で、年間約3万件の届出があります。潜伏期間は1〜3週間、主な症状は尿道のかゆみ・違和感・透明〜白濁した分泌物(膿)・排尿時痛ですが、約50%の男性は無症状のまま経過し、知らないうちにパートナーへ感染を広げてしまうケースが少なくありません。放置すると精巣上体炎・反応性関節炎、まれに男性不妊の原因となります。本記事では、男性クラミジアの症状・潜伏期間・検査・治療法・放置リスクから、咽頭・直腸感染、淋病との混合感染まで、性感染症診断・治療ガイドライン2020に基づきメンズケアクリニック 医師が網羅的に解説します。

「最近、尿道に違和感がある」「排尿時に少し痛む」「下着に薄い分泌物がついている」――こうした症状は、男性のクラミジア感染症のサインかもしれません。
クラミジアは日本で最も多く報告されている性感染症であり、年間約3万件の届出があります。特に20〜30代男性での感染が増加傾向にあり、無症状のまま経過するケースも多いことから「気づいたときには重症化していた」「パートナーに感染させてしまった」という事例が後を絶ちません。
本記事では、男性クラミジアの症状・潜伏期間・検査・治療法から、放置によるリスク、咽頭・直腸感染、淋病との混合感染まで、性感染症診断・治療ガイドライン2020と国立感染症研究所のデータに基づき、メンズケアクリニック 医師が網羅的に解説します。性感染症全般について知りたい方は男性の性病一覧と症状の解説記事もあわせてご参照ください。


クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という細菌の一種が原因で発症する性感染症です。国立感染症研究所の感染症発生動向調査では、性器クラミジア感染症の届出数は年間約3万件と、性感染症のなかで最多を記録しています。
感染経路は主に性的接触(膣性交・口腔性交・肛門性交)であり、感染者の精液・膣分泌液・粘膜の接触によって菌が伝播します。クラミジアは細胞の中でしか増殖できない「偏性細胞内寄生菌」で、尿道・咽頭・直腸・結膜の粘膜上皮細胞に感染します。
男性の場合は尿道炎として発症することが最も多く、約50%は症状が軽度または無症状のまま経過します。「症状が弱い=病原性が弱い」わけではなく、無症状のまま放置することで、後述する精巣上体炎・反応性関節炎・不妊などの合併症を招くリスクがあります。
クラミジアの感染経路は、ほぼ100%が性的接触によるものです。具体的には以下のような経路で感染します。
キス・タオル・便座・浴槽などの日常生活で感染することはほぼありません。クラミジアは粘膜から粘膜への接触で感染するため、皮膚の表面に菌が付着しても感染は成立しにくい性質を持っています。
ただし、感染部位は性器に限らず、咽頭・直腸・結膜にも及ぶため、オーラルセックスでも感染するという点は十分に認識しておく必要があります。咽頭クラミジアの詳細はこちらの記事をご参照ください。
国立感染症研究所のデータによると、性器クラミジア感染症の届出数は男女合計で年間2.8万〜3.0万件で推移しており、2010年代後半からはやや増加傾向にあります。届出は氷山の一角であり、無症状感染者を含めると実際の感染者数は届出の5〜10倍とも推定されています。
年齢層別では以下の傾向があります。
クラミジアは「若い男性の病気」と思われがちですが、実際は性的活動性のあるすべての年齢層で起こりうる感染症です。特定パートナーとの長期関係でも、過去の感染が顕在化するケースがあるため、症状が出たら早期検査をおすすめします。


男性がクラミジアに感染した場合、最も多いのはクラミジア性尿道炎(クラミジア尿道炎)です。淋菌性尿道炎と比べて症状が軽度なことが多く「非淋菌性尿道炎」の代表的な原因菌でもあります。
主な症状は以下のとおりです。
これらの症状は、淋菌感染症と比較して2〜3割程度の強さしかないことが多く、見過ごされやすいのが特徴です。「ちょっとかゆいだけ」「すぐに治った」と放置することで、菌が体内に残存し、合併症を引き起こすリスクがあります。
男性の尿道炎は、原因菌によって症状の強さに大きな違いがあります。クラミジアと淋菌の比較は以下のとおりです。
| 項目 | クラミジア性尿道炎 | 淋菌性尿道炎 |
|---|---|---|
| 潜伏期間 | 1〜3週間 | 2〜7日 |
| 排尿痛 | 軽度〜中等度 | 強い |
| 分泌物の色 | 透明〜白濁 | 黄色〜緑色(膿性) |
| 分泌物の量 | 少量 | 多量 |
| 症状の発現 | 緩やか | 急性 |
| 無症状の割合 | 約50% | 約10% |
| 典型的な訴え | 「なんとなく違和感」 | 「明らかに膿が出る」 |
※性感染症診断・治療ガイドライン2020(日本性感染症学会)より
このように、クラミジアは「症状が軽い・あいまい」が特徴です。一方、両者は同時感染(混合感染)するケースが20〜30%あり、症状からだけでは区別ができないため、検査では両方を同時に調べることが推奨されます。淋病については男性の淋病の症状・治療法の記事を参考にしてください。


クラミジアの潜伏期間は、感染してから症状が出るまで1〜3週間(平均2週間)とされています。これは、クラミジア・トラコマチスが宿主細胞内で増殖し、十分な菌量に達するまでの時間です。
ただし、潜伏期間には個人差が大きく、以下のようなパターンがあります。
潜伏期間中であっても、他者への感染力は持っています。「症状がないから大丈夫」と性交渉を続けると、パートナーへの感染拡大につながります。心当たりのある性的接触から1週間以上経過していれば、症状の有無にかかわらず検査が可能です。
クラミジア検査の推奨タイミングは、感染機会からの経過時間によって異なります。
症状がある場合は、1週間経過していなくても受診してください。症状があれば検査結果を待たずに治療を開始するケースもあります。


クラミジアの最大の問題は、男性の約50%、女性の約80%が無症状(または症状が極めて軽度)のまま経過する点にあります。これが、クラミジアが日本最多の性感染症となっている根本的な理由です。
無症状感染が引き起こす問題は以下のとおりです。
「症状がない=感染していない」ではないことを強く認識する必要があります。リスクのある性的接触があった場合は、症状の有無にかかわらず定期的に検査を受けることが、自分とパートナーを守る唯一の方法です。
ピンポン感染とは、カップルやパートナー間でクラミジアを互いに移し合う現象です。片方だけが治療を受けても、もう一方が感染を保有していれば、性交渉のたびに再感染が起こります。
ピンポン感染を防ぐためには以下が重要です。
パートナーへの告知は気まずいものですが、「黙っていることがパートナーを傷つける」という認識が必要です。当院では、パートナー告知のサポートも行っています。


クラミジアを放置すると、菌が尿道から精巣・前立腺へと逆行性に進展し、以下のような重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
これらの合併症は、いずれも治療に時間がかかり、後遺症が残る可能性もあります。「症状が軽いから」と放置せず、違和感を感じた時点で検査・治療を受けることが何より重要です。
精巣上体炎は、精巣の上後方にある精巣上体(副睾丸)に炎症が起こる病気です。35歳以下の男性の精巣上体炎の多くがクラミジアを原因としています。
主な症状は以下のとおりです。
治療は、抗菌薬の長期投与(2〜3週間)が必要で、尿道炎単独の場合の治療より長期化します。重症例では入院加療となることもあります。早期治療によって精管閉塞を防ぐことができますが、両側性の炎症や治療開始の遅れがあった場合、男性不妊の原因になるため注意が必要です。
反応性関節炎(旧称:ライター症候群)は、クラミジアなどの感染症をきっかけに起こる免疫反応性の関節炎です。クラミジア感染男性の約1〜3%に発症するとされ、HLA-B27陽性者でリスクが高くなります。
古典的には以下の三徴を呈します。
三徴がそろわないことも多く、関節痛だけが先行する例もあります。リウマチ性疾患と紛らわしいため、性感染症の既往歴を主治医に伝えることが診断の鍵になります。治療はクラミジアの除菌に加え、関節炎に対する非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が用いられます。


クラミジアは性器以外の粘膜にも感染します。代表的なのが咽頭クラミジアと直腸クラミジアです。
咽頭クラミジアは、口腔性交(フェラチオ・クンニリングス)によって喉の粘膜に感染するもので、感染者の80〜90%は無症状です。症状がある場合は、軽度ののどの違和感・咳・微熱程度で、風邪と区別がつきにくいのが特徴です。詳細は咽頭クラミジアの症状と治療法の解説記事をご参照ください。
直腸クラミジアは、肛門性交によって直腸粘膜に感染するもので、男性同性間性交渉者(MSM)に多く見られます。症状は肛門痛・排便時痛・粘液性または血性の肛門分泌物などですが、こちらも無症状例が多くあります。重症化するとクラミジア性直腸炎として、慢性的な肛門病変を起こすことがあります。
性器のクラミジア検査が陽性の場合、咽頭・直腸の感染も合併している可能性があります。実際の臨床データでは以下の傾向があります。
当院では、リスクのある性的接触があった場合に性器・咽頭・直腸の3部位同時検査を推奨しています。1部位だけの検査では見落としが生じ、治療後の再感染源となる可能性があるためです。


男性のクラミジア検査の主流は、核酸増幅検査(NAAT:Nucleic Acid Amplification Test)と呼ばれるPCR系の検査です。感度・特異度ともに高く、性感染症診断・治療ガイドライン2020でも第一選択とされています。
男性で行われる主な検査は以下のとおりです。
検査結果は通常2〜5営業日で判明します。当院ではプライバシーに配慮し、検査結果はマイページ(オンライン)で確認できる仕組みも整えています。
クラミジアの抗体検査(血液検査)は、PCR検査と異なる目的で使用されます。
抗体検査は過去の感染歴や深部臓器感染(精巣上体炎・骨盤内感染症)の補助診断として用いられます。ただし、抗原検査(PCR)との一致率が30%程度と低いため、急性期の診断にはPCR検査が優先されます。
抗体は治療後も陽性が長期間続くため、治癒判定には使えません。治癒確認には治療後2〜4週間後にPCR検査を再施行します。


クラミジアの治療は、抗菌薬の経口投与が基本です。性感染症診断・治療ガイドライン2020で推奨されている薬剤は以下のとおりです。
第一選択はアジスロマイシン1g単回投与です。1回の服用で治療が完結するため、コンプライアンス(服薬遵守)が高く、男性のクラミジア性尿道炎の標準治療として広く用いられています。
クラミジアの感染部位や併発する合併症によって、治療薬の選び方が変わります。
| 感染部位・状況 | 推奨される治療薬 | 投与期間 |
|---|---|---|
| 性器クラミジア(尿道炎) | アジスロマイシン 1g | 単回 |
| 咽頭クラミジア | アジスロマイシン 1g | 単回 |
| 直腸クラミジア | ドキシサイクリン 100mg | 1日2回×7日間 |
| 精巣上体炎合併 | ドキシサイクリン 100mg | 1日2回×10〜14日間 |
| 淋菌混合感染 | セフトリアキソン注射+アジスロマイシン | 同時投与 |
| マクロライド耐性疑い | シタフロキサシン | 1日2回×7日間 |
※性感染症診断・治療ガイドライン2020より作成
近年、マクロライド耐性クラミジアの報告が増加しているため、治療後の再検査で陰性確認をすることが推奨されます。再検査で陽性であった場合は薬剤変更を行います。
治療を成功させるためには、以下の点に注意してください。
クラミジアは適切に治療すれば95%以上が完治する病気です。早期発見・早期治療で合併症を防ぎ、安心してパートナーシップを継続できる状態を取り戻すことができます。


男性の尿道炎では、クラミジアと淋菌の同時感染(混合感染)が20〜30%に見られます。両者は症状や経過が似ているため臨床的に区別が難しく、検査では両方を同時に調べることが推奨されています。
クラミジアと淋菌の混合感染がある場合は、両方の菌に対する治療が必要です。一般的には以下の治療が行われます。
淋病の症状や治療法の詳細については男性の淋病・淋菌感染症の解説記事をご参照ください。性感染症全般の特徴や種類別の症状一覧については男性の性病一覧と症状ガイドもあわせてご覧いただけます。
クラミジアをはじめとする性感染症の予防には、以下が有効です。
性感染症は「自分は大丈夫」という思い込みが感染拡大の最大の原因です。年に1〜2回の定期スクリーニング検査を、健康診断と同じ感覚で受けることをおすすめします。


メンズケアクリニックでは、男性のクラミジア感染症をはじめとする性感染症の検査・治療をオンライン診療で完結できる体制を整えています。来院せずに自宅で検査キットの受取・採取・返送が可能で、結果が陽性の場合は医師の診察後に治療薬を処方します。
当院では「症状はないがリスクのある接触があった」「健康診断的に検査を受けたい」というご相談も歓迎しています。クラミジアは早期発見・早期治療で完治する病気です。「もしかして」と思ったら、まずはオンラインカウンセリングからご相談ください。


クラミジアの自然治癒はほぼ期待できません。抗菌薬による治療を受けない限り、菌は体内に残存し、慢性感染状態になります。一時的に症状が消えることはありますが、これは「治った」のではなく「無症状期に入った」だけで、依然として感染力を持ち、合併症のリスクも続きます。
「症状が消えたから治った」と思って放置することが、最も危険な誤解です。必ず医療機関を受診し、抗菌薬による治療と治癒確認の検査を受けてください。
性器クラミジア(単純な尿道炎)の場合は、アジスロマイシン1g単回投与で治療終了です。1回の服用で約7日間にわたって体内に有効血中濃度が維持されます。
ただし、以下のケースでは治療期間が延長されます。
治療後2〜4週間で治癒確認のPCR検査を受けることが推奨されます。耐性菌や再感染がないかを確認するためです。
はい、クラミジアは何度でも感染します。麻疹や水疱瘡のように、一度感染すれば一生免疫がつく感染症ではありません。治療で完治しても、感染者との性交渉で再感染します。
再感染を防ぐには以下が重要です。
1回治療を受けたからといって、生涯感染しない保証はありません。性活動が活発な期間は、年1〜2回の定期検査を習慣化することをおすすめします。
はい、リスクのある性的接触があれば症状がなくても検査を強くおすすめします。男性のクラミジアは約50%が無症状で経過し、検査を受けない限り感染に気づきません。
以下に該当する方は、症状の有無に関わらず検査を受けるべきです。
当院では、症状の有無にかかわらず検査を受け付けており、結果は医師の診察と合わせてお伝えします。
クラミジアの放置は男性不妊の原因になりえます。具体的には、クラミジア性精巣上体炎が両側に発症し、精管が閉塞することで精子の通過が妨げられる「閉塞性無精子症」を引き起こす可能性があります。
ただし、以下の点を理解しておいてください。
クラミジア感染と診断されたら、男性自身だけでなくパートナー(特に女性)の検査・治療も必須です。将来の妊娠を望む方は、早期治療が何より重要です。
クラミジアと淋病はどちらも男性の尿道炎を起こす代表的な性感染症ですが、原因菌・症状の強さ・治療薬が異なります。
両者は20〜30%で混合感染しているため、検査では両方を同時に調べるのが一般的です。詳しくは男性の淋病・淋菌感染症の解説記事をご参照ください。
クラミジア検査の費用は、検査項目・自由診療か保険診療かによって異なります。
症状がある場合は保険診療での検査が可能で、3割負担となります。症状がない検査希望の場合は自由診療(自費)となるのが一般的です。当院ではご希望に応じて柔軟に対応しています。
はい、パートナーへの告知(partner notification)は強く推奨されます。あなたが治療を受けても、パートナーが感染保有していれば、性交渉のたびに再感染が起こります(ピンポン感染)。
告知の際のポイントは以下のとおりです。
当院では、パートナーへの告知サポートも行っています。「どう伝えればいいかわからない」という方は、医師にご相談ください。告知のための説明書類の作成や、パートナーの診療予約のサポートもいたします。
※本記事はメンズケアクリニック 医師の監修のもと、性感染症診断・治療ガイドライン2020と公的機関のデータに基づき作成しています。個別の症状については必ず医師にご相談ください。
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