シアリスを飲むといきにくい？「ED薬は感度が鈍る」説の真偽を検証！

「シアリスなどのED治療薬を飲むと勃起力が回復するだけでなく早漏が改善する（射精までの時間が長くなる）」という通説があります。

「早漏改善＝早漏のときよりもいきにくくなる」と言い換えれば、「シアリスを飲むと（早漏の人は）いきにくくなる」ということになります。

「陰茎はカチカチに勃起しているよりも少し柔らかいときのほうが刺激を受けやすい」という通説があります。

この通説によれば、シアリスを飲むと早漏が改善するのは「陰茎の硬さが増して刺激を受けにくくなるから」ということになります。

早漏でない人も、シアリスを飲んで陰茎がいつもより硬く勃起すれば、刺激を受けにくくなっていきにくくなるはずです。

早漏には主に2つのタイプがあります。[1]

①初めて性交したときからずっと早漏で、遺伝的な原因があると考えられるタイプ

②トラウマになるような性的経験、セックスに関係する不安・コンプレックス、対人関係の問題、糖尿病、高血圧、甲状腺機能亢進、アルコール・薬物依存、EDなどの要因により、あるときから早漏になるタイプ

①のタイプの人は、射精のコントロール（抑制）に関係する脳の神経の働きに問題があるために、陰茎への刺激に過敏に反応してすぐに射精してしまうと考えられています。

ED治療薬の主な働きは血管拡張作用です。陰茎海綿体につながる動脈が拡張して血が流れ込みやすくなり、勃起力が回復します。ED治療薬の作用は射精を抑制する神経の働きには関係がないので、①のタイプの早漏を治す効果はないと考えられます。

EDになると、セックスに対して自信が失われ、不安や緊張を感じやすくなったり、中折れ（セックスの途中で陰茎がなえてしまうこと）が起こる前に射精してしまおうと、焦ってセックスをする習慣がついたりします。その結果、②のタイプの早漏になるケースが少なくありません。

シアリスを飲むとこういった問題が解消され、より自然にセックスを楽しめるようになり、射精までの時間が長くなる（早漏が改善する）ことがあります。

つまり、EDが原因で起こる②のタイプの早漏の場合、シアリスで早漏が改善する可能性があります。ただし、その理由は陰茎の感度が鈍るからではなく、主に心理的な要因が改善されるためです。

EDではない早漏の人に対しても、シアリスなどのED治療薬が早漏改善効果を持つかどうか試す実験が行われていますが、今のところ明確な結果は出ていません。

EDで早漏の人がシアリスを飲むと、射精までの時間が長くなる傾向があります。

これは「感度が鈍るから射精までに時間がかかる」ということではなく、「前よりも射精をコントロールできるようになり、余裕を持ってセックスを楽しめるようになったために時間が延びた」ということです。

このように、「シアリスを飲むと射精までの時間が長くなる」という実験結果があったとしても、必ずしも「感度が鈍っていきにくくなる」というわけではないのです。

この説については、はっきりした科学的な証拠はありません。

先ほど述べたとおり、EDで早漏の人がシアリスを飲むと早漏が改善するのは、主に心理的な理由によります。

EDでない人がシアリスを飲んだ場合、普段以上に硬くなって感度が鈍るという話があります。確かに、普段以上に硬くなるというケースはあります。

EDの診断基準は「満足な性行為を行うのに十分な勃起力があるかどうか」です。勃起時の陰茎が多少柔らかくても、満足なセックスができるのであれば、EDとは言えませんし、当人も気にしないのが普通です。

「EDでない人」には、勃起時に陰茎がカチカチに硬くなる人から、多少柔らかめの人まで含まれます。普段からカチカチに硬くなる人がシアリスを飲んでも、はっきりわかるほど硬さが増すということはないでしょうが、多少柔らかめの人がシアリスを飲めば、いつもより陰茎が硬くなる可能性があります。

とは言え、たとえシアリスを飲んで陰茎がいつもより硬くなったとしても、感度が鈍るということはありません。

もしシアリスを飲んで陰茎がいつもより硬くなり、感度が鈍ったように感じたとしたら、実際には感度が鈍ったのではなく、何か別のことが起きていると考えられます。