バイアグラのジェネリックについて｜特徴と選び方

比較の参考に先発薬のバイアグラを冒頭に記載しています。

とくに選び方の参考になると思われるポイントを解説します。

先発薬のバイアグラ錠と同じく、普通に水と一緒に飲むのが大半ですが、東和薬品のシルデナフィル錠「トーワ」は水なしで飲むことができます（水と一緒にも飲めます）。

わざわざ水を用意する必要がないだけでなく、こっそり服用しやすいという利点もあります。ED治療薬を用いていることをパートナーに知られたくない人にも向いています。

なお、「トーワ」が発売された2年後に先発薬の製造元であるファイザーも水なしで服用できるフィルム状バイアグラを発売しています。

錠剤の中央に刻まれている溝を割線（かっせん）と呼びます。割線がある錠剤は半分に割って飲むことが可能です。50mg錠剤のほうが25mg錠剤2つ分より処方価格が安いため、25mgを利用する人は50mg錠剤を割って使ったほうが安上がりです。

なお、割線のない錠剤も割ることは可能ですが、服用には注意が必要です。錠剤は一定量の主成分（シルデナフィル）と添加物で構成されていますが、割線のない錠剤は成分が均一に混ざっているとは限らないため、効果の出方が偏る可能性があります。割線入りは単に割りやすいというだけでなく成分に偏りが出ないように製造されているのです。

ジェネリックの主成分はバイアグラと同じですが、添加物は異なります。それでも効き方は同等であることが確かめられ上で認可されています。ただし、添加物はアレルギーの要因になる場合があり、バイアグラではアレルギーが生じなくてもジェネリックでは生じるという例（またはその逆）もまれにあります。また、ジェネリックに不信感があると心理的な影響で効果が薄くなることもあります。

富士化学工業のシルデナフィル錠「FCI」はバイアグラとほぼ同じ形・色をしており、添加剤の成分表示が同一です。合成着色料の名称（前者はインジゴカルミン、後者は青色2号）だけ異なりますが、これは名称が違うだけで物質としては同じです。各添加物の重量は多少違うのかもしれませんが、内も外もバイアグラにそっくりな薬であることは間違いないと言えます。

「ジェネリックの利用（バイアグラからの移行）を検討しているがジェネリックに不安がある」という人には「FCI」が最適かもしれません。

海外製ED薬などを取り扱うサイトは個人輸入代行という建前で運営されていますが、実態としては薬機法などに違反した輸入販売に当たる例が多いようです。医薬品個人輸入代行の利用者に健康被害が続出していることから、厚生労働省ではしばらく前から取り締まりを強化しています（※2）。

個人輸入代行サイトで入手できるED治療薬の4割程度は偽造品であるという調査があります。偽造ED治療薬により重篤な副作用をきたした例がときどき報告されており、海外では死亡例もあります（※3）。

通販のジェネリックの大半はインド製で占められています。バイアグラジェネリックの「カベルタ」や「カマグラ」、シアリスジェネリックの「メガリス」「タダリス」などはすべてインド製です。これにはわけがあります。

インドでは2005年まで医薬品の安価な流通のために「医薬品の成分については特許を認めない」という世界的にもまれな政策をとってきました（※4）。国際的に通用する特許というものは存在せず、国毎に取得する必要があります。そのため、どの国の製薬会社もインドでは新薬の特許を取れず、インドの製薬会社は他国企業が新薬を発売すればすぐにそのジェネリックを作れるという状態になっていたのです。

2006年には特許法が改正されましたが、依然として医薬品の特許に関して大きな制約があり、改正前に開発されたジェネリックは規制されずに流通しています。

こうした政策のおかげでインドの製薬業界は大きく成長し、安価な薬や薬剤原料をインド国内はもとより世界各地に供給するようになりました。その一方で、内部告発やFDA（アメリカ食品医薬品局）の査察を通して製造工程管理や国の監督体制に問題が多いことが判明しています（※5）。

こうした事情により、ジェネリックがたとえ本物だったとしても問題がないとは言い切れないわけです。そして実際にはさらに高リスクの偽造薬が混じっています。危険を避け、自分に合ったジェネリックを選ぶためにも、医療機関の受診をおすすめします。