シアリスを毎日飲むとどうなる？ED治療薬のよくある疑問・誤解

薬のなかには、飲み続けると効果が弱まってしまい、以前と同じ効果を得るためには量を増やさなければならなくなるものがあります。こうした現象を「耐性」といいます。アルコールにも耐性があり、習慣的に飲酒し続けるとアルコールが効きにくくなることがあります。

シアリスなどのED治療薬（PDE5阻害薬）にはこうした性質はなく、毎日飲み続けても効果が弱まるということはありません。[1]

それどころか、ED治療薬を習慣的に飲み続けると動脈硬化などが改善され、血管が健康になって、より効果が高まるとも言われています。

依存には「精神依存」と「身体依存」があります。精神依存は「飲みたくてしかたがなくなる」状態、身体依存はしばらく飲まないでいると体や神経に異常が現れる状態です。

依存性のある物質は使用し続けると効果が弱まってくる（耐性が生じやすい）傾向があります。

シアリスなどのED治療薬では精神依存も身体依存も起こりません。「シアリスなしでは満足のいくセックスができないので、シアリスが手放せなくなる」といった状態は便利な道具であればどんなものにでも起こりうることで、病的な精神依存とは異なります。

正しい用量・用法を守っていれば、飲み続けても副作用がひどくなることはないでしょう。一度に飲む量が多すぎたり、24時間以上空けずに続けて服用したりすると、副作用の危険が高まります。

また、病気や薬のなかにはシアリスと相性の悪いものがあり、シアリスを飲み続けている間に新たに病気になったり他の薬を飲み始めたりする場合には注意が必要です。

シアリスを服用してはいけないケースと服用に注意が必要なケース（状態によっては服用できないケース）をまとめておきます。[2]

シアリスを飲み続けると自分本来の性機能（勃起力や精力）が衰えてしまうのではないかと心配する人が少なくありません。「人工物に頼って勃起させていると性的な力がなまってしまうのではないか」ということのようです。

勃起は、性的刺激で脳が興奮し、その興奮が陰茎に伝わって、陰茎海綿体に大量の血が流れ込むことで起こります。体の各部が勃起に向かって走り出し、バトンをつなげて、最終的に陰茎海綿体に血を送り込んで、勃起を生じさせるのです。

EDになると、体のどこかでこの働きが弱まります。シアリスを飲むと一時的に血管が拡張し、陰茎海綿体に血が流れ込みやすい状態になります。その結果、勃起の働きがどこかで多少弱まっていても、勃起に十分なだけの血が流れ込むようになるのです。

体の働き（性的興奮や神経・血管の連動）がなければシアリスは効きませんし、シアリスが体の働きを衰えさせるようなこともありません。シアリスを飲み続けているうちに勃起力や性欲が低下したのであれば、それはシアリスのせいではなく、加齢や生活習慣病などの影響で性機能低下が進行したせいだと考えられます。

「シアリスを飲むとペニスの感度が下がっていきにくくなる」という説がインターネットなどを通して広まっていますが、真実ではありません。

シアリスなどのED治療薬は、一定の間だけ血管拡張作用を発揮し、陰茎海綿体に血が流れ込みやすい状態をつくって、勃起力を改善します。薬の効き目がなくなれば体はもとの状態にもどります。

したがって、血管の問題（動脈硬化や高血圧、心血管障害など）や神経障害が原因でEDを発症している場合、ED治療薬を飲んでもEDが根本的に治るわけではありません。

ED治療薬を飲み続けると血管の状態が多少は改善する可能性があるようですが、ED治療薬が動脈硬化や心血管障害などの治療薬としても有効かどうかはわかっていません。

心理的な問題（不安、うつ、緊張、プレッシャーなど）が原因でEDを発症している場合、ED治療薬を利用して満足のいく性生活を繰り返すことでそうした問題が解消され、ED治療薬なしで勃起できるようになることがあります。

ただし、心理的な問題だけでEDを発症している例はまれで、たいていは身体的な問題も伴っています。[4]

とは言え、心理的な要因のほうが大きい場合は、ED治療薬なしでも十分に勃起できるようになる可能性はあります。

シアリスは正しく服用すれば毎日飲み続けても問題のない薬です。習慣的に飲むことで血管の状態が改善され、より効果が高まることもあります。

心理的な問題で発症しているEDの場合、シアリスを飲み続けることで問題が解消され、EDが治るケースもあります。

病気や他の薬剤の中にはシアリスと相性の悪いものもあるため、体の調子が悪くて医療機関を受診したときなどには、シアリスを服用していることを医師に伝えるようにしてください。