ヘルペスの症状・治療・放置リスクについて

性器ヘルペスは放置しても基本的に自然に治ります。しかし、場合によっては強い頭痛、首が曲げられなくなる、目がかすむ、尿が出ない、便秘などの症状が出ることがあるので医療機関を受診して治療を受けた方がよいです。

ヘルペスの診断は、医師の診察、抗原検査、抗体検査などで行います。まず、陰部に水ぶくれや潰瘍を認めた場合にはヘルペスを疑います。ヘルペスでは、初めて感染して症状が出る時と再発時では病変の大きさや範囲が異なることが多いので診断時に参考になります。再発の場合は、初発に比べると病変が小さく、範囲も狭いことがあります。ヘルペスウイルスが実際に存在するかどうかを調べるために、病変部を綿棒でこすり、顕微鏡で調べる抗原検査が一般的によく行われています。一方で、抗体検査はヘルペスに感染した初期では陽性にならないので診断に役に立たないと考えられています。ただし、IgM抗体の場合には発症してから約1週間程度で上昇するので、ヘルペスと他の疾患との診断が難しい時に診断の一助として検討してもよいといわれています。 また、感染しているヘルペスウイルスの型が1型か2型であるかどうかを確認しておくことは、再発の可能性を推測するのに役立つので、ウイルス分離、抗原検査などで判定します。日本では、再発のほとんどの患者においてヘルペスウイルス2型が検出されます、

現在の治療法で使用する抗ヘルペス薬は、感染後に体の中に残るヘルペスウイルスを取り除くことはできません。しかし、ヘルペスウイルスの増殖を抑える作用のある抗ヘルペスウイルス薬を服用すると、治癒までの期間が短くなることがわかっています。また、治療をしないと、強い頭痛や目のかすみ、便秘などの症状が出ることがあるので医療機関を受診し、適切な治療を受けた方がよいです。性器ヘルペスの治療法は、初めて感染して症状が出た場合（初発）と再発で症状が出た場合では抗ヘルペス薬の服用期間などが異なります。 ・初発時の治療法 初発の場合には、抗ヘルペスウイルス薬であるアシクロビル錠200mgを1回1錠1日5回、バラシクロビル錠500mgであれば1回1錠1日2回を5-10日間内服します。もし重症の場合には、注射用アシクロビル5mg/kg/回を1日3回、8時間ごとに1時間以上かけて7日間点滴静注をします。症状を見ながら、投与期間は判断しますが、最大10日間まで延長します。また、脳炎や髄膜炎などを合併した場合には、注射用のアシクロビルの量を10mg/kg/回に増量して治療します。 ・再発時の治療法 アシクロビル錠200mgを1回1錠1日5回、バラシクロビル錠500mgであれば1回1錠1日2回を5日間内服します。再発時には、症状が出てから1日以内に抗ヘルペス薬を内服しないと効果を期待できないといわれています。また、再発する前に出る症状として違和感や痛みが知られており、このような症状が出た時に早めに抗ヘルペス薬を内服すると症状が出づらくなることがわかっています。そのため、再発の可能性があると判断されるとあらかじめ薬を渡され、早めに内服するようにアドバイスを受けることもあります。 再発時の症状が軽い場合には、5%アシクロビル軟膏を1日数回、5-10日間塗ることもあります。 ・再発の抑制のための治療法 性器ヘルペスは、再発する病気として知られていますが、再発を繰り返すことをストレスに感じる人も少なくありません。世界的に、再発した時の症状が重い人に対して、抗ヘルペス薬を長期間続けて内服することによる治療法が行われています。具体的には、抗ヘルペス薬を1年間続けて内服した後に、一度内服を中止し、再度内服が必要か判断することが推奨されています。日本では2006年9月にバラシクロビル1回500mgｍ1日1回内服による治療に対して健康保険が適用されます。